top of page

2015年 中国 日本のアニメに対する規制

 中国といえば海賊版のイメージが強いが、2011年以降 動画配信サイトや、大手PCゲーム会社が日本のアニメコンテンツの正規版権を購入する動きを見せ始め、2014年以降モバイルゲーム市場の爆発的な成長により、モバイルゲーム市場においても版権ビジネスが活発化している。

※ モバイルの版権状況は別途ブログで記事にします。

 このような中、2015年3月31日 文化部より、未成年者を違法な犯罪や暴力, ポルノ, 賭博, 恐ろしい活動, 公序良俗に反する事象に誘導する恐れのあるアニメに対する規制が発表された。

 具体的な規制対象のアニメタイトルは明らかにされないものの、中国の国営放送局であるCCTVのニュース番組にて、90を超える対象と思われるタイトルリストの一部が報道され、土豆(tudou.com)、优酷(youku)、爱奇艺(iQIYI)、乐视(Letv)、搜狐(tv.sohu.com)、酷米(kumi)、腾讯视频(v.QQ.COM)などの大手動画配信サイトへ調査が入り、対象と思われるタイトルの配信が即時に停止されており、業界関係者の間に驚きが走った。

続報が待たれる中、2015年6月10日 文化部より『暴力恐怖アニメの調査結果』が発表され、“土豆(tudou.com) ”、“优酷(youku) ”、“爱奇艺(iQIYI) ”、“乐视(Letv) ”、“搜狐(tv.sohu.com) ”、“酷米(kumi) ”、“腾讯视频(v.QQ.COM) ”などの29のオンラインアニメ配信企業が処罰され、“漫画岛”、“洒洒动漫网”など8の違法な動画サイトが停止させられた。

また、提供を禁止するアニメのブラックリストを発表した。

1. 《东京残响(残響のテロル)》

2. 《BLOOD-C》

3. 《学园默示录(HIGHSCHOOL OF THE DEAD)》

4. 《死亡代理人(Ergo Proxy)》

5. 《寄生兽(寄生獣)》

6. 《骷髅人(スカルマン)》

7. 《替身(Another)》

8. 《地狱刑警(インフェルノコップ)》

9. 《爆炸头武士(アフロサムライ)》

10.《东京食尸鬼(東京喰種トーキョーグール)第二季》

11.《刀剑神域(ソードアート・オンライン)第二季》

12.《东京ESP(東京ESP)》

13.《东京暗鸦(東京レイヴンズ)》

14.《鬼泣(デビルメイクライ)》

15.《记忆女神的女儿们(Mnemosyne -ムネモシュネの娘たち-)》

16.《新妹魔王的契约者(新妹魔王の契約者)》

17.《进击的巨人(進撃の巨人)》

18.《尸体派对(コープスパーティー)》

19.《噬血狂袭(ストライク・ザ・ブラッド)》

20.《死亡笔记(Death Note)》

21.《亡灵幻境(死囚乐园)(デッドマン・ワンダーランド)》

22.《约会大作战(デート・ア・ライブ)第二季》

23.《心理测量者(PSYCHO-PASS サイコパス)》

24.《女恶魔人(デビルマンレディー)》

25.《日在校园(School Days)》

26.《妖精狩猎者(エルフを狩るモノたち)》

27.《妖精的旋律(エルフェンリート)》

28.《恶魔高校(ハイスクールD×D)》

29.《百花缭乱 武士少女(百花繚乱 SAMURAI GIRLS)》

30.《美少女死神 还我H之魂!(だから僕は、Hができない。)》

31.《女生万岁(GIRLSブラボー)第二季》

32.《我的狐仙女友(彼女はこん、とかわいく咳をして)》

33.《无赖勇者的鬼畜美学(はぐれ勇者の鬼畜美学)》

34.《樱通信(桜教室)》

35.《暗杀教室(暗殺教室)》

36.《黑执事3(黒執事3)》

37.《大剑(CLAYMORE)》

38.《吸血鬼同盟(ダンスインザヴァンパイアバンド)》

 文化部は、今後も未成年者保護のために厳しい調査を継続するとし、動画サイトへの処罰や営業停止処分、ブラックリストへのタイトル追加を行い健全化に努めることを発表、また国民からの通報への協力も呼びかけ、専用のサイトを用意している。

 中国モバイルゲーム市場において、著名アニメに対し数億円の価格が付くような、日本のアニメ版権を巡る競争が激化していた中で、今回の発表は改めて中国の政府リスクを認識するきかっけになったように感じる。

 今回の規制対象はあくまでアニメの提供となるが、ゲームビジネスにおいても、日本のアニメの人気・知名度を借りての集客・収益、ブランディング効果を期待しているため、影響を受けるのは確実だ。また 今後 ゲーム化が禁止されない保証はなく、巨額のコストを支払い権利を獲得しても、最悪ゲームをリリースできない恐れもある。

 これまで、日本のアニメIPのモバイルゲーム化において、監修やコミュニケーション上の問題によりゲームをリリースできないリスクや、版権元から複数の中国企業へライセンスされることでの悪影響などが懸念されてきたが、今後は政府リスクも検討せねばならず、中国企業は日本アニメIPに対して慎重にならざるを得ないだろう。

bottom of page